「心に刺さる・耳の痛い話Ⅰ・・」(865号)

本日は、前週・前前週に続き書籍のご紹介になります。書籍「本気の説教 」上司の本気

の説教にこそ、部下を成長に導くカギがある――。人材育成に携わる著者が、働く人の

心に刺さる“耳の痛い話”の数々を通して、仕事で成果を出すための秘訣を伝授していま

す。テレワークが拡大する昨今、部下育成に悩む上司にとっても参考になるヒントが

満載の書になっています。著者は小笹芳央氏、早稲田大学政治経済学部卒業後、

(株)リクルー入社。2000年、(株)リンクアンドモチベーション設立、同社代表取締役

社長就任。2013年より同社代表取締役会長。現在は、モチベーションを切り口にした企業

変革コンサルティング事業、個人のキャリアアップを支援するスクール事業、企業と個人

をマッチングする人材紹介・派遣事業を展開するグループの代表として経営に携わってい

ます。今日はその中から『仕事の報酬は仕事である』『ロールモデル探しは時間のムダ』

の2つをご紹介します。今週と来週にわたり7回に分けて掲載いたします。

「なるほどなっ!と納得のお説教をお聞き下さい。」上司や先輩たちが、部下に嫌われる

ことを恐れて言わなくなった「説教」や「耳の痛い話」。実は、この説教や耳の痛い話こそ

が、仕事に向き合う気持ちを形作ってくれます。

仕事の報酬は仕事。労働は等価交換にあらず】

「自分はこんなに働いているのに、給料は安いままだ…」。これは入社3、4年目になる

と必ずと言っていいほど生じる思いです。そういう時は、こう考えてみて欲しいです。

『仕事の報酬は仕事である――。』ここで悩む人は、仕事の報酬は“給料”だと思ってい

ます。どういうことか?例えば、100円を払ってペットボトルの水を買う。これは消費

行動であり、等価交換が成立します。この感覚を労働の現場に持ち込むと、「これだけ

働いているのに、これしかもらえない」となります。ここに、時給900円でアルバイト

している学生がいるとします。初めは一生懸命働くが、数カ月経ち仕事に慣れてくると

「900円じゃ割に合わない」と言い始まります。もう少し頑張れば、「正社員として

働かないか」と声がかかるかもしれない。そうなれば、時給換算で1800円になる可能性

があります。にもかかわらず、時給950円の仕事を探してしまうのです。これは消費行動

と同じです。しかし、労働の場面では、リアルタイムの等価交換は成立しません。後か

ら利子がつき、大きくなって返ってきます。労働が報われるまでにはタイムラグがあり

ます。新しいプロジェクトが立ち上がる時、「この仕事ならあいつにやらせてもいいん

じゃないか」と白羽の矢が立つ。それを「ご褒美」と考えて取り組んだ方が高いレベル

の信頼関係を構築でき、経済的報酬も後から返ってくるものです。

【ロールモデル探しは時間のムダ】

ロールモデル難民――。そんなふうに呼びたくなるような若者をよく見かけます。

「この会社には、お手本にできるような人がいない」。そう言って、転職を繰り返す人

たちのことです。彼らが求めているのは、全人格的に帰依できるような存在でしょう。

しかし、完璧なビジネスパーソンなど存在しません。それを求めてさすらう彼らの、

何と不幸なことか・・。なぜロールモデルを求めることが不幸なのか。それは、学ぶ

機会を自ら放棄しているようなものだからです。ビジネスパーソンにとって、

「お手本」は身近にいる人の数だけ存在します。「あの先輩の謝り方は天下一品だ」

「彼は同い年なのに頼み事をすることにかけては名人級だ」・・。何もかもを持つ人

はいませんが、誰もが「何か」を持っています。それを吸収していけば、「いいとこ

取り」ができます。心の置き所ひとつで、不満を抱いていた職場も学びと成長の場に

変わるのです。――次号に続く・・

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