環境意識のたかまりや天然資源の需給逼迫をうけ、廃棄物や汚染を発生させないことを前提にした「循環経済」(サーキュラーエコノミー)への転換が世界ですすんでいます。その背景や具体的な内容について解説するとともに、今後の日本での対応についてしらべてみました。これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄を前提にした「線形経済」は、原料⇒生産⇒使用⇒廃棄の流れが一方通行で、温室効果ガスや海洋プラスチックごみの排出をぞうだいさせてきました。結果、地球温暖化や生態系のはかいがひき起こされ、このままでは「世界経済全体として、たちいかなくなるのは明白」経済産業省がしてきしています。そうした経済からの脱却をめざして日本は、2000年に循環型社会形成推進基本法を制定し、3R(リデュース=廃棄物の発生抑制、リユース=製品の再利用、リサイクル=資源の再生利用)を活発に実施しました。少ない資源でよりおおきなゆたかさを生み出す「資源効率」をたかめるとりくみもすすめられてきました。しかし、廃棄物の発生をよくせいし、再利用やリサイクルをすすめても、製造、流通、消費など全ての過程でそのとりくみが徹底されるとは限りません。そこで循環経済では、製品やサービスの設計段階から廃棄物と汚染をうみださないプランを考え、資源の価値をおとさずにつかい続けられるシステムを提案。原料⇒生産⇒使用⇒再利用・リサイクルの流れが円形に循環するイメージをつくり出しました【イラスト参照】 循環経済にとくにちからを入れているのが欧州連合(EU)です。成長戦略の枠組みとしてEU全体で「58万人の新規雇用の創出」をかかげており、取り組みには欧州構造投資基金(E S I F)などの財政支援をおこないます。日本でも昨年5月、「循環経済ピジョン2020」を発表。事業者、消費者、行政が責任をもって役割をはたし、「企業よし、消費者よし、環境よし」の三方良しで日本らしい循環経済のあり方をめざすと明記しました。同ピジョンでは、循環性の高いビジネスモデルの例を①設計②生産③利用④廃棄――の各段階でしめしています【表参照】循環経済の典型的なビジネスモデルのひとつが、製品の所有権は企業が維持したまま、消費者がつかう権利をかうという方法です。日本でもすでに、一定金額を毎月支払えば、選んだ自動車をマイカーのようにのれる車のサプスクリプションなどが各社でおこなわれています。利用者は、まとまったお金がなくても車を利用できるうえ、その時々の生活スタイルに応じて必要な車を選んでのることができます。企業側にとっては、あらたな顧客の獲得が期待できるほか、メンテナンスをつうじて車の長期利用を可能にしたり、自主回収でリサイクルにつなげたりできます。また、走行距離や運んだ荷物の重量におおじて課金するトラック向けタイヤのリースサービスや、ロボット掃除機の定額課金サービスなども開始。企業は、製品に内蔵したセンサーを通じ、どのようにつかわれたかなどの情報をえられれば新製品の開発に活用できます。このほか、製品の原材料を全て他の製品の廃材でつくったり、事業活動の全てを再生可能エネルギーでおぎなうといった動きもあります。コンサルティング大手のアクセンチュアによると、循環経済のとりくみ効果は30年に4・5兆ドル(約500兆円)にのぼるといわれます。
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