「そのとおりですっ・・!」と感銘を受けたお話を紹介致します。プロゴルファーの杉原輝雄さんの「人間の“プロ”になれ」というお話です。ゴルフにおける勝者は一つの試合にたった一人しかいません。だからこそ、無数の負けとどう向き合うか、また悲観的な状況にあっても、決して腐らず一所懸命に取り組むことが大切になってくるのです。そのことを私に教えてくれたのは、オーストラリアのグラハム・マーシュという選手でした。彼はもともとゴルフが下手で、しばらくして日本ツアーに参戦できるようになったものの、プレーの運び方が非常に鈍く、他の選手やギャラリーたちをいつも苛々させていました。約三十年前に名古屋で開催された中日クラウンズで彼と一緒に回った時、初日、二日目とも成績は振るわず、彼も私も予選落ちは確定と言える状態でした。しかしマーシュは懸命でした。十八番ホールのグリーン上で、入ろうが入るまいが大した意味のないパーパツ卜を沈めようと、彼は入念に芝目を読んでいたのです。一方、勝ち目のない試合だと踏んでいた私は、彼のプレーを苛立ちながら眺めていました。しかしそのパーパットを着実に沈めたマーシュは、翌週ぐんぐんと調子を上げ、予選を通過するどころか、見事優勝を決めてしまったのです。その日の調子が良かろうが悪かろうが、目の前にある一打一打を一所懸命に打たなければいけない、常にベストを尽くさなければいけないと教わった出来事でした。ゴルフは努力をしさえすればいい、結果が得られるものではないですが、どんな時でも一所懸命に取り組んでいないと、よい結果には繋がりにくいのです。その時その時において常にベストを求められるのは、人生においても全く同じではないでしょうか。思えば小学校の頃からゴルフの世界に携わらせていただき、いろいろな方にお世話になりました。昔はいまのように試合数が多くなく、出場したくてもできなかったことが沢山ありました。いまの若いプロゴルファーの多くは、小さな頃から自分のクラブを与えられ、試合に出られることも、練習をさせてもらえることも当然のように思っている。もっとも、私自身も気がつくのが遅かったのですが、誰のおかげでゴルフをしていられるのかと考えた時、私は試合後にお世話になったスポンサーやコースの支配人宛に礼状を出すことにしました。四十歳を過ぎた頃でした。私は、人は皆、生まれた時から「”人間のプロ゛になるという使命を担っている」のではないかと考えています。人間であれば心があるのだから、挨拶もしますし、相手への思いやりも当然持つことでしょう。何も特別なことは必要なく、当たり前のことを当たり前にできるようになれば、その人は、人間として立派なプロなのです。ゴルフに限らず、その世界の上位クラスで活躍をする人は一流の素質か、それに近いものを持っています。しかし人間として一流でなければ、その人の値打ちは半分以下になってしまうのです。人間のプロ。病気や年齢の壁に立ち向かい、自らに挑み続けることもその条件の一つであると思います。
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