子供たちが夏休みに入りました。緊急事態宣言下、「こんな時だからこそ工夫をして沢山の思い出を作ってあげたい。」そう思う親御さんも多いのではないでしょうか。うちには残念ながらそのような年頃の子供はいませんが、孫を待ちたいと思います・・。私の一押しは「読書」です。私は16歳頃から、本を読む習慣を持っています。きっかけになったのが「矢沢永吉さま」の「成り上がり」です(*_*)。やんちゃな時代に永ちゃんが成り上がったサクセスストーリーにめちゃめちゃ感動したことを今も覚えています。息子にも読ませてみましたが・・(時代が違いますね)。あの感動が今でも読書にかりたてる原動力になっています。
「読書って、何でも人ごとではなく自分事にできる感性を養う上で、とても大切」とは、出版科学研究所所長・加藤真由美さんの言葉です。これは「相手の身になって考えられること」にも通じるといいます。作家の吉岡忍氏は、コロナ禍を生きる現代人は「時間の尺度が変わっている」と指摘します。疫病の災厄と奮闘する故に、先人たちの辛苦の経験を〈自分事〉として学べるのです。氏は、史書『続日本紀』の内容を踏まえつつ、天然痘の大流行による政治と社会の大混乱を、仏教を根底に超克しようとした聖武天皇の治世(奈良時代)を解説。「千年以上も前の出来事を生々しく読み解けるなんて、めったにない状況にいるのです」と語っています。また「今こそ実感を伴って」読める西洋の古典として、ペストが猛威を振るった14世紀の名作、ボッカチオ著『デカメロン』を推奨。この小説は、ペスト禍を逃れて郊外の館にこもった男女10人が語る物語です。描かれる疫病下の凄惨さ、聖職者を筆頭とする当時の乱倫の活写も、世の混迷と破壊から立ち上がるのに必要な総括といえます。そう捉えれば、コロナ禍の今、大災厄からの脱却と再生への希望を託した文学として読むことができます。吉岡氏は、「暮らしや生き方の糧にする読書」こそ「危機の時代における、まっとうな本の読み方」とも強調しています。今こそ、優れた古典作品を味読したいですね。古今東西の名作を読むということは、古今東西の得がたい経験を積むことと同じです。古今東西の名著には、先人たちの豊かな知恵と経験があふれています。しかし、それを汲み出せるかどうかは、今を生きる私たちが、自分自身の人生と社会に、どう向き合うかにかかっています。目前の課題に挑み、向上を目指すからこそ、琴線に触れる一書と出あえるのです。爽快に学び、自身の生きる力を育む夏にしませんか。