「会社のこころ」(1076号)・・技術屋の相談役のAZA

京セラ、KDDIの創業者である稲盛氏の最新刊書籍「経営のこころ・会社を伸ばすリーダーシップ」のまえがきに書かれている内容のご紹介をしながらお話をさせて下さい。『現在、コロナ禍で、企業を取り巻く環境が劇的に変化しています。また、経営者・経営幹部の真価が問われています。例えば、在宅勤務者が大半を占める状況下で、いかに社員と意思疎通を図り、組織の一体感を図るのか。また、副業解禁などで会社との心理的距離が拡大するなか、いかに企業の理念を社員恚共有していくのか。さらには、働き方改革で時短勤務が推奨される時代に、いかに社員のモチベーションを高めつつ、誰にも負けない努力を求めていくのか。いずれも難題であります。しかし、日本企業が最も考慮すべきは、アグレッシブな企業家精神の涵養(かんよう)であります。アメリカやヨーロッパでは、コロナ禍の二〇二〇年の起業(新規事業申請)数は、前年に比べ、大幅に増加しました。運輸や小売業を中心に新たなビジネス機会を見出すなど、ビジネス環境の変化を、新たな成長のチャンスととらえています。一方、日本では起業数は横ばい、ないしは減少傾向にあります。もともと日本の産業社会は起業意欲が低く、世界の先進諸国の中では低位に留まっています。なぜか。日本はバブル経済崩壊以降、経済成長が停滞するなか、産業界はじめ社会全体に閉塞感が漂うようになってしまいました。戦後の日本経済を牽引してきた大企業が存亡の危機を迎え、中には消滅や買収という運命をたどった企業さえありました。これら日本を代表する著名企業の蹉跌(さてつ)が、若者の起業意欲を減衰させているかもしれません。また、二〇一一年の東日本大震災以来、日本の社会全体に、同情や哀れみのような、優しい感情が広く蔓延するようになりました。もちろん他者を思いやる美しい心は、人や社会に欠かすことができない大切なものです。しかし、それだけでは、企業や国家は競争のなかで敗れ去るしかない。時代の変化に首をうなだれることなく、逆境をものともせず、不死鳥のごとく新たな飛躍を遂げていこうとする強靱な精神性が、変革期には必要不可欠であります。もともと経営とは「闘い」です。私は、京セラがまだ中小零細企業であった頃、売上を確保できそうもない営業に対し、「市場で負けて逃げて帰ってきたなら、俺が機関銃で撃ってやる。後ろへ退却しても死ぬのだから、死んだ気で前に進んで闘え!」と、厳しく叱咤激励したことがあります。乱暴な言い方ですが、企業経営では、そんな激しい闘争心を欠くことはできません。それは、自らの金儲けのためではないのです。多くの従業員の幸福のためだからです。企業に集う従業員とその家族の長年にわたる、物心両面の幸福を追求することこそが、企業経営の目的だと私は確信しています。ならば、その実現のために、経営者は経営環境の変化などに「絶対に負けるものか」という、格闘技の選手にも似た闘志を持って臨み、何としても企業を持続的成長へと導いていかなければならないのです。この強く激しい「燃える闘魂」こそが、起業そして経営の最大推進力です・・・。』

エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA