政府は現在、脱炭素化を進めて経済成長につなげる「GX(グリーントランスフォーメーション)」の実現に取り組んでいます。この中で課題として挙げられている「中小企業のGX」について解説をご紹介致します。
GXが注目される背景には、2050年までに温室ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するとの政府目標があります。目標達成のカギを握るのは産業界であり、その中でも中小企業の取り組みが重要とってきます。17年度に日本全体で排出された温室ガスは推計約12億トン。このうち中小企業の排出量は、約2割の2・5億トンにもなるとの試算もあります。世界的な脱炭素化の流れを受け、ビジネスの現場では、商品や製品のサプライチェーン(供給網)全体でのカーボンニュートラルをめざす動きが活発化しているのが現状です。企業活動で排出される温室ガスの種類は、3つに分けられます。①自社の直接排出(スコープ1)
②電気などの使用による間接排出(スコープ2)
③企業活動における間接排出(スコープ3)
特に大企業は、自社単独では対応できないスコープ3を削減するため、取引先の中小企業に脱炭素化を促す傾向にあります。実際、日本においても取引先から、脱炭素化の方針に準拠するよう求められる中小企業が増えているといいます。資金繰りの面でも、融資先の温室力ス排出量を金融機関が把握するなどの動きがあります。ただ、こうした脱炭素化の流れについて、経営に何らかの影響があると感じつつ、対策の検討には至っていない中小企業が約8割に上っています。
中小企業がGXに取り組むことで得られるメリットは多いのです。
即効性のあるメリットとしては、省エネ化に伴う光熱費の低減。LED電球の導入や空調の温度設定といった取り組みはコスト削減に直結します。ビジネス面でのメリットは、温暖化対策に積極的だとして、大企業や消費者から選ばれる企業となり、競争力の強化や知名度の向上が見込まれることです。また、賃金調達の面では金融機関からの評価が高まるとされます。さらには、気候変動問題に関心の高い人材を獲得する力が高まります。政府が2月10日に閣議決定したGX実現に向けた基本方針では、まずは、こうしたGXを進めるメリットを周知し、相談体制の充実を図ることが重要だとしています。また中小企業のGXを促すため、政府は支援策を強化しています。弊社で出来る取組を模索しつつ今すぐ出来る取組、節電、公共交通機関での移動、適切な空調管理を行って参りましょう。