「量子コンピューターの新たな展望・・」(1335号)業界初・ものづくり技術支援をサブスクで提供するAZA

技術屋のサブスク量子コンピューターの未来がますます明るくなってきました!東京大学大学院工学系研究科の武田俊太郎准教授率いる研究チームが、驚くべき成果を2023年7月26日に発表しました。なんと、3つの光パルスを使って様々な計算ができる光量子コンピューターの試作機を開発したのです。この研究内容は学術誌「Physical Review Letters」のオンライン版にも掲載され、世界中から注目されています。
この試作機の特徴は、拡張性が高い2重ループ回路を用いて複数の光パルスにあらゆる線形光学変換を行えるシステムを実現したこと。これは世界初の快挙と言えるでしょう。
武田准教授の研究チームが開発しているのは、「ループ型光量子コンピューター」と呼ばれる光量子コンピューターです。このシステムでは、光回路内を移動する光パルスを量子ビットとして利用し、その光パルスに特殊な補助光パルスを混ぜ合わせることで、計算を行う「量子テレポーテーション回路」を利用します。
ループ型光量子コンピューターは、光パルスが1つの量子テレポーテーション回路を何度もループする構造を持っています。この仕組みにより、光パルスに対して複数ステップの計算を実行することが可能となります。
研究チームは、3量子ビット相当のプロトタイプを成功裏に作成し、さまざまな計算を実行して期待通りの動作を確認しました。これにより、以前は1個の光パルスを扱う計算回路の開発に成功していたため、量子ビットの数を1個から3個に増やすことができました。今後はループを拡大することで、より大規模な計算が可能になると考えられています。
しかしながら、現時点ではこの光量子コンピューターで計算できるのは、加算や減算に相当する限られた計算のみです。実用化のためには、より複雑な「非線形変換」と呼ばれる計算が可能になるようにし、量子ビットの誤り訂正を実現し、さらに量子ビットの数を100万個程度まで増やす必要があります。このような目標に向けて、研究チームは量子ビットの精度向上や大規模化を進める計画です。
実際の装置の大きさは、縦1.5mx横4.2m、畳2枚分ほどの広さの箱の中に。光源や回路内の光の通り方を調整する鏡などを設置しています。課題は5種類の基本的な計算のうち一部がまだ出来ない点と、計算の精度も80%~90%にとどまり、一定の誤りが生じる点です。量子コンピューターの進化は、我々の世界に革命をもたらす可能性があります。引き続き注目していきたい分野ですね。今後の研究の成果に期待が高まります!

エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA