技術屋のサブスク 最新の半導体産業の情報です。スマートフォン、家電、自動車など、多岐にわたる産業での利用が進んでいます。その中で、日本の半導体産業が再興の動きを見せています。
背景
かつて、日本の半導体産業は1980年代後半に世界シェア5割を超える強さを誇っていました。しかし、日米貿易協定や韓国、台湾の企業の台頭により、現在はシェアが1割に落ち込んでいます。しかし、シリコンウエハーや製造装置といった分野では、今も日本がリードしています。
日本政府の取り組み
日本政府は、国際的な半導体メーカーである「台湾積体電路製造(TSMC)」の熊本県への工場誘致をはじめ、各地での製造拠点の建設・拡張を推進しています。更に、経済対策にも半導体の国内製造拠点支援策が組み込まれる予定です。
次世代技術の開発
「ロジック半導体」と呼ばれる、スマホやパソコンの核心部分の半導体技術の開発競争が熾烈化しています。日本の新会社「ラピダス」は、未だ実用化されていない2ナノメートル級の半導体製造を目指しています。ラピダスは、2025年に試作ライン稼働、2027年の量産を目指しており、そのための投資額は5兆円とされています。このプロジェクトには、政府からの3300億円の補助も決定されています。
半導体生産の現状
現在、10ナノメートル未満の最先端半導体の製造は、8割以上が台湾と韓国に集中しています。日本は40ナノメートルの製品製造が主流ですが、ラピダスは米IBMやベルギーの研究開発機関との協力を得て、最先端技術の取り組みを進めています。
政府の補助策
TSMCの熊本工場誘致に関して、政府は最大4760億円の補助を予定しています。この工場での製品は、最先端技術ではないものの、自動車やカメラなどに利用される重要な部品となります。
また、米半導体大手マイクロン・テクノロジーが広島工場での設備投資に対し、政府は最大1920億円の補助を発表しています。
まとめ
日本の半導体産業は、AIや電気自動車などの需要拡大を背景に、2030年までに現在の3倍の15兆円の売上を目指しています。世界の半導体市場も2030年には100兆円規模に成長すると予想される中、日本の再興が大きく注目されています。私達の業務の1つである、半導体製造装置の設計も日本再興に大きく貢献しいることは間違いありません。日々精進していきましょう。