火曜日は新聞ネタのブログです。「世界の半導体設備投資はいまやTSMCを中心に動いている!」という記事をご紹介します。
2024年の半導体設備投資は前年比横ばいの1460億ドル(約22兆円)と予測されていますが、この金額は過去のピークである2022年の1615億ドルに迫る水準です。中でも、台湾のTSMCの投資が突出しており、世界の半導体設備投資の1/4以上を占めています。TSMCのこの積極的な投資の背景には、経費の少なさや高利益率があり、競争優位を保つための研究開発投資の効率性もあります。
TSMCの営業状態は依然として好調で、2024年1~3月期の純利益は1兆67億円となり、前年比9%増、純利益率は38%を記録しています。特に生成AI向け先端半導体の需要が増収増益の主因で、主要顧客の70%は米国企業(アップル、エヌビディアなど)です。
TSMCはブランドを持たない生産委託専門企業であり、売上高はすでに10兆円を超え、事実上インテルやサムスンを凌ぐ半導体業界のリーダーです。そのため、TSMCは設備投資にも積極的で、今後数年間で最低でも5兆~6兆円の投資を予定しています。
米国アリゾナ州では、第1期と第2期を合わせて5.5兆円の新工場が立ち上がっており、さらに4兆円以上を投じる第3工場の建設も計画中です。この米国新工場には、米国政府から1兆7400億円の補助金が投入される予定です。また、日本の熊本には第1工場(1.2兆円投入)が稼働し、第2工場(2兆円投入)の建設計画も発表され、さらに第3工場の検討も進められています。欧州ではドイツ・ドレスデンに1.5兆円を投入する新工場が計画されています。
TSMCのこの大規模な投資は、地政学的リスクヘッジの一環とも考えられ、中国の台湾侵攻の可能性に備えた動きとも言えます。これにより、世界の半導体市場はシリコンファンドリーの時代に突入していることを象徴しています。