自動車向け半導体市場が急速に拡大しています。EVやAI技術の普及により、自動車1台に使われる半導体の価格は大幅に上昇し、業界全体の需要が増加しています。半導体はガソリンエンジン車では、5~7万円、EVやエコカーは10万~15万円、自動運転車両だと20万円以上、AIとつながるコネクテッドカーでは30万円以上使用されるといわれます。また自動車向け半導体は20兆円以上という将来性が期待されています。これに対応するため、日本の自動車メーカーが中心となり「自動車用先端SoC技術研究組合」(ASRA)が設立され、チップレット技術を用いた自動車用半導体の研究開発が進められています。ルネサスエレクトロニクスは、インド市場での売上を倍増させる計画を発表し、現地での半導体販売を強化します。
一方、中国政府は2025年までに自動車向け半導体の25%を国内製にする目標を設定し、国産サプライチェーンの強化を図っています。しかし、EV車の普及は予想ほど進んでおらず、中国国内でも在庫が増えている状況です。テスラの業績も低迷しており、中国政府の目標達成には疑問の声もあります。
次世代の自動車向け半導体市場では、NVIDIAがAI技術を駆使して優位に立ち、インテル系のモービルアイやAMDも活躍が期待されています。パワーデバイス分野では、ドイツのインフィニオンが圧倒的な強さを持ち、欧米勢が市場をリードしています。これにより、自動車向け半導体市場は今後も欧米企業が主導していく構図は変わらないようです。この需要増加は私達の半導体製造装置の設計業務にも大きく影響すると思われます。