私達の業務動向にも関わる次世代ディスプレイ技術の最新動向についてお話しです。現在、韓国や中国の企業が「G8.7」(ガラス基板サイズ:2290×2620mm)というサイズの有機EL(OLED)の量産投資を本格的に始めています。このG8.7基板は、マザーガラスと呼ばれる大型ガラス基板で、サムスンディスプレー(SDC)は今年3月から製造装置の搬入を進め、2025年からの量産開始を予定しています。一方で、中国のBOEも2026年からの生産を目指して準備を進めています。
このG8.7基板は、AppleがiPadやMacBookに有機ELを採用する製品戦略に沿って、RGB塗り分け方式の有機ELをG6からG8へと大型化する取り組みの一環として開発されました。
さらに、日本や中国の企業は、より高画質・高耐久性を目指した「フォトリソグラフィー技術」や「インクジェット印刷(IJ)技術」といった新しい製造方法の開発を進めており、これによりノートPCやモニターなど私たちの日常生活にも次世代ディスプレイ技術がさらに浸透していくことが期待されます。
また、量子ドット技術(QD-EL)や、究極のディスプレイ技術とも言われるマイクロLEDにも注目が集まっており、どの技術が主流になるのかまだ予測が難しい状況です。特に中国企業が急速に成長していることで、日本のメーカーも競争が激化しているのが現状です。こうした流れによって、しばらく低迷していたFPD装置業界も回復に向かうことが予想されます。
今後も、日本の技術が次世代ディスプレイ分野でリードし続けることを願いつつ、この動向を注視してまいります。そして、この技術革新が私たちのお客様の開発にもプラスの影響を与えることを期待しております。