中国の古典の菜根譚(さいこんたん)に自分ができること、自分だけではできない
ことを分類する三つの役割についての寓話があります。今日はそのお話になります。
なるほど・・と納得の寓話ですので一読ください。
ある村に、家族でタンスやちゃぶ台などの家具をつくる職人がいました。その家に
は、代々伝わる家訓がありました。その中に経営術の話が出て来ます。『事業は、
最小三人が力を合わせて行なうべし』というものでした。内容は、
①「お金のやりくりができる人間には、金庫を預ける」
金庫の担当は、木材や塗装用の漆などの材料の仕入れ、工賃の支払い、販売価格
など、お金の出し入れのすべてを仕切る。
②「木を使ってものがつくれる人間には、現場を任せる」
現場の担当は、木材の品質チェック、使いやすさを含めたデザイン、組立て、仕上げ
まで、制作のすべてを仕切る。
③「出来上がった製品を上手に売ることができる人間には、肩書を与える」
作られた家具の価値を正確に人に伝えて売り、メンテナンスも請け負いながら、次の
注文をとる。そういう営業担当には社長という肩書を与える。
家具をつくるその家では、代々その家訓を守り、四代続きました。しかし、五代目
で大きな事件が起きたのです。村の二割を焼き尽くす大火に遭ってしまい、家も
工場も家具のもとになる木材もすべて焼失してしまったのです。「困った・・・
もう終わりだ」一面の焼け野原に呆然となってしまう。そんなとき、彼らのもとへ
昔からの顧客たちが古着や食料を持ち寄ってくれたのです。お礼をかねて、顧客たち
のもとへ挨拶に出向くと、焼け残った家具のメンテナンスなどの仕事を受けることが
でき、当座の生活費は何とか成りました。やがて、村の焼け野原の復興需要も発生し、
彼らが得意とする家具の注文がどんどん入り、やりくりする人、つくる人、売る人の
三人が力を合わせて難局を乗り切ることができたのです。今も、そうした経験を
次世代に伝えながら、彼らの事業はしっかり受け継がれています。
会社は、何のためにあるのか?一つの見方として、「一人ではできない持続可能な事業
をするため」ということがあります。会社は、もともと「会う社(やしろ)」と書く
ように、人が会って何かをする場所のことです。あなたが・・
「つくる人(ものやサービスで価値を生む人)」だとして、どこかの会社の下請けに
なるのでなければ、「売る人(お客様を見つけて営業する人)」と
「やりくりする人(利益が出るように計画する人)」の力を借りなければ、持続可能な
事業はできないのです。
●つくる人が営業をするとサービスが過剰となり、利益が出なくなる。
●売る人が経理も担当するとドンブリ勘定になり、たちまち事業が行き詰まる。
この寓話では、一つの事業を進めるときに、
「つくる人」[売る人]「やりくりする人」の3種類の人が力を合わせなければ、持続
させることができないことを示唆しています。一人ができることには限りがありそこで、
仕事をする仲間で力を合わせることで、価値を生む仕事に変えることができるのです。
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