「境遇を前向きに捉える・・」(775号)

今年は、東京2020オリンピック開催の年でしたが、残念ながらコロナの影響で

延期となりました。このような状況下ですが明年のオリンピック開催が、海外移動

再開のきっかけになれるオリンピックであることを祈りたいです。さて先日の新聞

記事を参考に「境遇を前向きに捉える・・」という内容のお話をさせてください。

「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」――2004年、アテネ五輪の

体操男子団体決勝。日本が28年ぶりに金メダルを獲得した際の、刈屋富士雄氏に

よる名実況です。

刈屋氏が昭和59年5月、夏の高校野球地区予選に対処するために必要な実況アナ

ウンス研修会が行われました。 参加者は民放の刈屋氏を含めて全国から21名。

刈屋氏以外は全員NHKのアナウンサー。 内容はラジオ実況のアナウンスです。

プレーを忠実に追い、情景描写の連続であり、解説者のいない一人しゃべりです。

ラジオ実況はテレビ実況の基本になる大切な訓練です。刈屋氏はとにかく声を張って

喋ろうと、無我夢中でしゃべり続けました。終了後講師に言われたことは『あなたが

一番NHKらしいしゃべりだよ。これからはどんどん喋りこみ練習、百戦錬磨あるのみだ』

という言葉でした。この研修に参加できたことで、当時スポーツ実況はあこがれ的な

仕事だったのが、明確にその後の大きな目標に変わり実現に至りました。この時に教わ

ったことが今でも自分の基本になっているそうです。

その刈屋氏が“スポーツ取材の原点”と語るのは、ある高校野球部を取材した時のこと

です。その高校のグラウンドは、テニスコートが一面あるのみでした。守備練習の

ベースは、テニスコートを避けた二つだけ。一塁手と二塁手のノックが終わると、今度

は反対側から三塁手と遊撃手にノックをします。外野練習は、校舎の3階からボールを

投げ入れるのです。刈屋氏は“こんな環境で練習する意味があるのか”と、監督に質問を

しました。監督の答えは「いい環境を求めたらきりがない」と・・。限られた条件の

中で、何ができるかを一生懸命に考えれば、アイデアは次々と生まれてくるのです。

「環境は有限ですが、発想は無限です。」と・・。境遇をどう捉えるかは、人によっ

て千差万別です。前向きに生き生きと仕事に励む人と、周囲や環境、待遇への

文句ばかり口にする人では、同じ場所にあっても生き方に大きな違いが生じ、結果も

大きく変わってきます。コロナ禍にあっては、仕事で、日常生活で様々な行動の制限が

続きます。また仕事量の流れも悪く、今まで通りには行きません。この難局を皆の知恵

と工夫で、乗り越え、成長の糧にする新たな挑戦を開始していきましょう。

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 「技術をデザインする」  マルチエンジニアリングのAZA