「政府の示すグリーン成長戦略策定・・」(850号)

先日も少しご紹介したグリーン調達について少し硬いお話になりますが今後、私達

製造業に携わる企業には重要は内容になります。

「脱炭素社会」に向けた政府の動きが加速しています。政府は昨年12月、菅総理が

表明した温室効果ガスの排出量を2050年までに、ゼロにする目標を実現するため

「グリーン成長戦略」を策定しました。

再生可能エネルギーの利用拡大やガソリン車から電動車への転換など意欲的な目標

を打ち出しています。ただし、実現には「技術革新」「コスト削減」に加えて改革

にともなう「失業への対策」などが必要で、今後は実行力が問われます。カギにぎ

る洋上風力については温暖化対策の国際わく組み「パリ協定」が15年に採択され、

各国は21世紀後半に、世界全体で二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガス排出量

を実質的にゼロにする「脱炭素化」を目指しています。日本は化石燃料を大量消費

する火力発電に依存しており国際社会から大きな批判をあびてきました。グリーン

成長戦略では、計14分野での目標年限や課題をしめしています。乗用車の国内新車

販売の全てを30年代半ばまでに電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など

の電動車に転換すると明記されました。燃料の使用によるCO2排出の4割を占める

発電分野では、50年までに電源構成にしめる再生可能エネルギーの割合を現在の2割

程度から5~6割に高め、主力電源とする「参考値」をかかげました。再エネルギー

でたりない分は、CO2を回収する技術を導入した火力と原子力で計3~4割を、

新技術の水素やアンモニアを利用した発電で1割程度をおぎないます。再生可能エネ

ルギーの、利用拡大の切り札と位置つける洋上風力発電については、40年までに最大

発電能力を30~45ギガワットに増やす方針です。原発に換算すると30~45基分に当

たる規模で、専門家は「稼働率を考慮しても実現すれば原発20基分程度の電力を供給

でき、インパクトはおおきい」と指摘しています。脱炭素社会に向けようやく具体的な

目標を掲げたものの、実現には課題が山積しているのも事実です。いずれも低コス化や

技術開発を前提としており、計画達成は時間との闘いといえます。産業構造転換も迫ら

れるため、労働力が新しい分野に円滑にいこうしなければ多くの失業者をうみます。

ガソリン車規制について、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は

「電気自動車を造れば造るほど、この国ではCO2(排出)が増える」とし、電源を

含めた脱炭素化の必要性を強調しています。かどなEV化で「自動車業界のビジネス

モデルが崩壊し、雇用がへたしたらゼロになる」と危機感をあらわし警鐘を鳴らして

います。洋上風力発電ではコストが課題になってきます。海外では海底に直接風車の

土台を建てる「着床式」が主流ですが、日本では遠浅の海が少なく、開発余地は限ら

れます。土台を海に浮かべる「浮体式」は技術的に難しい面があり、建設費を含めた

発電コストの低減は容易ではないのです。再生可能エネルギー価格の高止まりは電気

料金に跳ね返るため、消費者にとって重荷になり、企業の国外流出が加速する恐れも

あります。原発の再稼働も電力会社の不祥事などで地元の理解が進まず、見通せてい

ません。戦略が画餅に帰せば、国際社会からの批判が一段と強まるばかりでなく、

成長機会を逃すことにもなりかねません。官民を挙げた取り組みが求められている非常

に困難な道のりです。しかし逆に言えば大きなチャンスでもありターニングポイントに

なることは間違い有りません。弊社でも注意深く外部環境に注視して行きます。

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