「次世代の経済社会けん引する・バイオエコノミー」(904号)・・ライフワークバランスのAZA

本日は、生物工学を活用する産業郡「バイオエコノミー」について簡単にご紹介致します。現在生物が持つ能力や性質を人間社会に役立てるバイオテクノロジー(生物工学)を活用し、さまざまな産業で技術革新を起こそうとする動きが世界的な潮流となりつつあります。弊社でも昨年度、微細藻類から製造するバイオジェット燃料に関しての試作設備の製作を手掛けました。こうした動きや産業群は「バイオエコノミー」と呼ばれ、次世代の経済社会をけん引する″原動力″として期待が高まっています。今後、日本政府も積極的に取り入れていく方針です。

●49力国が相次ぎ戦略/技術革新で200兆円市場へ

微生物の働きを利用して酒やみそ、納豆などの食品を作る発酵・醸造技術や、農作物や家畜の品種改良など、バイオテクノロジーは、古くから身近なところで活用されてきました。これらは生活の知恵や経験から生まれた技術ですが、現在は遺伝子の働きが解明され、科学に基づいて行われています。世界が注目する理由は、バイオテクノロジーの活用により、多くの分野で画期的な性能を持つ付加価値の高い製品を生み出せる可能性が高いからです。石油・石炭などの化石燃料を生物由来の資源で代替することができるため、脱炭素化への貢献度も大きいのです。また、新型コロナウイルス感染症の検査技術や治療薬・ワクチン開発に不可欠という点でも、バイオテクノロジーの重要度が増しています。経済協力開発機構(OECD)は、2 0 3 0年には加盟国におけるバイオテクノロジーを活用した産業が工業や農業、健康分野に広がり、約200兆円の市場規模になると予測しています【図参照】。ただ、これは新型コロナの感染拡大が本格化する以前の予測であり、新型コロナへの対応により、市場規模はさらに拡大する可能性が高いのです。今後10~20年で、バイオ産業に関連する経済効果が世界全体で年間約220兆~440兆円に達するとの民間の試算もあります。経済産業省によれば、OECDが09年にバイオエコノミーの概念を初めて提唱。これを契機に世界的に関心が高まり、各国でバイオエコノミーの発展をめざす国家戦略が相次いで策定されるようになりました。その数は、18年までに49力国に上っています。米国は12年にバイオエコノミー戦略を発表。民間主導で国内のベンチャー企業に積極的な投資が行われ、創薬や高性能素材など高付加価値のモノづくりがバイオ産業をリードしています。特に高い成長が見込まれるのは健康・医療分野です。例えば、ウイルスの遺伝情報を伝える物質「メッセンジャーRNA」を活用した新型コロナワクチンの製造が挙げられます。従来、ワクチンは開発から実用化まで10~20年を要していたが、1年程度で実用化に至った。しかも高い有効性を持っています。既存の治療法が効かない患者にも高い効果が期待できます。またがん治療薬にもバイオテクノロジーが活用されています。国内ベンチャーのS p i b e r株式会社は、高い強靭性を持つクモの糸を参考に人工合成によるタンパク質繊維を開発。それを使ったアウトドア用ジャケットが19年に国内で限定発売されました。食料分野では、大豆など植物性タンパク質を主原料に使い、味や食感、見た目などを本物の食肉に限りなく似せた「代替肉」が象徴的です。米国で人気が急上昇し、世界で食肉・食品加エメーカーの参入が相次いでいます。

☆アザエンジニアリング・最近の実績☆☆AtoZtoA