昨日に続き、最高峰のお話になります。1973年にノーベル物理学賞受賞をされた江崎玲於奈(物理学者)さんの「ノーベル賞を取るための五か条」をご紹介致します。
――創造性を育むにはオプションを活かすことと共に、何事もよく「考える」ということも大変重要です。私が勤めていたIBMには、「Think」という標語があちこちに掲げられていました。考えて考えて考え抜け、という社員の心得を説いた言葉です。アップル社のスティーブ・ジョブスも、「Think different」つまりただ考えるだけではなく、違ったことを考えろ、と言っています。これを受けて私が若い人に言いたいのは「Think unthinkable」考えられないことを考えなさいということですね。私の場合、エネルギーが粒子状態になっているという、想像を絶するアンシンカブルなことをプランクが考え出し、それが古典力学を超える量子力学の発展に繋がりました。このように将来というものは必ずしも過去の延長線上にはない。現状維持、何もしないこと、伝統を守るということがリスクになることだってある。そのことをしっかり理解してほしいと思っています。私が一九九四年に国際会議で話した内容を、ノーベル物理学賞の選考委員が聞いて、スウェーデンの物理学専門雑誌に「江崎の黄金律」として発表してくれたものがあります。