「人間にも四季がある」(1183号)・・ワークライフバランスのAZA

私の住むマンションは森に囲まれており、目の前のバス停の名前は「鶯谷(うぐいすだに)」。春は夜明けとともに鳥のさえずりの大合唱。夏は昼夜にわたり、せみの大合唱。まさにせみ時雨です。そんな中に、ツクツクボウシの鳴き声が交じってきました。せみの多くは夏の季語になっていますが、ツクツクボウシは秋の季語になります。数年を地中で過ごしたせみは、成虫になった後、数週間から1カ月、地上で生活します。大音量の鳴き声は、今を全力投球する命の叫びにも聞こえます。また犬の散歩コースにはみごとな田園が広がり、田んぼに5月の終わりごろ植えられた苗が既に稲穂となって熟してきました。春に穀物の種をまき、夏に成長し、秋に収穫し、冬に貯蔵するように、人間にも四季がある――こう言ったのは明治維新の精神的指導者・吉田松陰です。10歳で亡くなる人には10歳の中に、100歳の人には100歳の中に四季があり、10歳の生涯が短いというのは「(命が短い)夏蟬を長生の霊木にしようと願うこと」である・・と。松蔭が開いた松下村塾からは高杉晋作,久坂玄瑞,井上聞多,伊藤博文ら幕末・明治において大きな活躍を果たす指導者を輩出しました。吉田松陰は数え年30歳で亡くなりますが、自身にも四季は備わっていると遺書に記しました。『このまま死ぬのは、これまでの働きによって育てた穀物が花を咲かせず、実をつけなかったことに似ているから惜しむべきかもしれない。だが、私自身について考えれば、やはり花咲き実りを迎えたときなのである』(古川薫訳)。彼の志は塾生たちに受け継がれ、維新回天の力となったのです。暦の上では立秋が過ぎました。酷暑が続きますが秋が始まり一年の3分の2の月日が過ぎようとしています。いま皆さん自身の季節は今どちらに・・。

エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA