「世界半導体の市況に懸念要因」(1186号)・・半導体製造装置設計のAZA

電子デバイス新聞の記事からの紹介です。絶好調だった半導体産業ですが、ここのところ世界の半導体市況はにわかに暗雲が立ち込めてきました。それは何と言っても、テレワーク急増によるパソコン特需がほぼ終わってきたことにあるといわれます。実際のところ、国内においても首都圏の電車はラッシュ状況に戻りつつあります。2022年の半導体市況については、10~15%成長と見る向きが圧倒的に多かったのです。その最大の理由は、DX革命によるテレワークの推進が世界的に進むこと、そして5Gおよび6G高速によるデータセンター投資の急増が見込まれることでありました。ところが、中国経済の急減速により、世界GDPの牽引役が不在となるため、極端に言えば、リーマンショック以来の世界経済リスクも考えられる、という半導体アナリストが指摘しています。2000年以降、世界のGDP成長率と民間の最終消費支出はほぼ同じ動きを示しています。民間最終消費支出は、2020年の新型コロナ禍で大きく落ち込みましたが、2021年はその反動から大きく伸びました。ところが、2021年の消費支出成長率はその年のGDP成長率を大きく上回っているわけであり、2022年はその反動でGDPが一気に下がってくるとも言うのです。またDX革命が推進されてきたのは、何と言っても新型コロナによる巣ごもり需要でありました。家庭内のテレワークが急増したことにより、パソコン出荷はかなりの伸びを示してきました。ところが、2022年について、パソコン出荷は前年比13%減と一気に急落する見込みです。当然のことながらパソコン向け半導体も大幅に減ってきます。タブレット端末もよくありません。そしてまた、2022年のスマホ市場も前年比25%増と見られていましたが、同3%増に大幅減となりそうです。インフレの加速で、購買力に大きな陰りが出てきたこと。消費者は高額商品の購入を先送りしているとアナリストは指摘しています。そうした状況下にあって、半導体業界の世界チャンピオンであるインテルの2022年第2四半期の売上高は前年同期比22%減の153億ドルとなり、まさに頭を抱える状況となりました。パソコン向けのCPUが不調である上に、データセンター向けチップのアップグレードにも遅れが生じています。最も、インテルが浮かない顔をしている一方で、競合するAMDは台湾TSMCの最先端プロセスを使えることにより、実のところかなり成長しているのも事実です。半導体の違う分野ではEV(電気自動車)を中心に自動車の電動化が加速するなか、駆動を担う機電一体型「eAxle」構成パーツの1つであるインバーターへのSiCパワー半導体採用の機運が高まっています。調査会社トレンドフォースの発表資料(7月半ば)によれば、車載用SiCパワーコンポーネント市場は2022年に10.7億ドル、26年には39.4億ドルまで拡大すると見込まれています。大手の独ボッシュも21年12月からSiCチップの量産を開始するなど、本格搭載に向けて着々と準備が進んでいます。この先、半導体市況の行方が気になります。

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