電子デバイス産業新聞から「スマートグラスとエッジコンピューティングが新時代の主役」との記事をご紹介致します。「夢の世界がもはや近づいているとしか言いようがない」感慨をこめてこう語るのは半導体業界のトップアナリストとして君臨する南川明氏です。南川氏によればGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)の各社は何と開発人員の3分の1をメタバースに投入しているというのです。メタバースの今日にあってはコンピュータや各種ネットワークの中に構築された3次元の仮想空間やそのサービスを指しています。一般的には既存のインターネット技術の発展形であり、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の世界を最先端テクノロジーで実現しようというのです。例えばメタバースを利用する人は、オンライン上に構築された3次元の仮想空間に自らが参加し、買い物などもできるというウルトラ離れ業が可能になるのです。端末として大きな主役の座を占めると言われているのが、スマートグラスとスマートウォッチです。スマートグラスは現在のような大きな「Google Glass」のようなものでは決してありません。通常のサングラス程度の薄くて軽いタイプのものが主流になます。スマートウォッチもまたさらに進化を続けていきます。南川氏によれば、向こう3~5年の間には米国のスマホ保有者の3分の1がスマートグラスに切り替えるというのです。すなわち一般的な生活の中でスマホを捨てる世界が実現されるのです。もちろん日本の大手企業もメタバースの取り組みを進めています。キヤノンはデジタルカメラで撮影した人物を3次元で仮想空間に再現できるアプリの開発をマイクロソフトとの協力で進めています。カメラ1台でプレゼンター・ホワイトボード・会議室全体を映し出すわけであり、リモートワークであっても、全員が同じ会議室であるかのような臨場感の高いオンライン会議ができるのです。映像事業に命をかけるソニーは、もちろん得意とするゲームの世界でメタバース技術の確立とサービスを強化していく方向です。スポーツの判定を支援するカメラシステムは、AR・VR・AI技術を駆使して作られています。その視線の先にあるのは、ソニーが得意とするマイクロLEDという、新たなディスプレイが大活躍するステージということになります。家電大手のパナソニックはメタバース向けのVR機器を次々と市場に投入しています。眼鏡型の超高解像度のVRヘッドセット、さらには背中に装着する小型のパーソナルエアコン、さらには自分の声を周りに聞こえにくくする音漏れ防止機能つきのBluetoothマイクなどを市場に出しています。インテル社によれば、メタバースの本格登場が進めば、コンピューティング能力は現在の1000倍は必要になると言っておりこれはただごとではないのです。現在ですら少し市場がトーンダウンしてきたとはいえ、半導体は作っても作っても足りない。それが1000倍のコンピューティング能力が必要ということになれば、全く予測することのできない巨大な半導体市場が切り拓かれることになるのです。実際のところ、スマートグラスやスマートウォッチで日常的な生活の中でメタバースを活用するならば、エッジコンピューティングがどうしても必要になります。それこそ数10メートルおきにエッジサーバーを作っていかなければならないようになります。そうなれば、少年くらいの背の高さの小型のエッジサーバーが世界中に置かれるという状態になります。このエッジサーバーのCPUやメモリー、とりわけNANDフラッシュメモリー、さらにはパワー半導体などは、大活況になることは間違いのないのです。メタバースの元祖と言われるFacebook(現在の社名はMETA)もまた、自前のエッジサーバーに搭載されるプロセッサーを開発していると言われ、そうしたデバイス関連で1兆円の投資を数年間にわたって断行します。メタバースが切り拓く世界は半導体や電子部品、ディスプレーなどの電子デバイスに強烈なインパクトを与えるのです。一番はじめにブレークするのはやはりゲーム市場でありますが、医療、工場、店舗などの産業分野に次々と活用されていくわけであり、人類はとうとうありえない夢の世界に入っていくことになるのであります・・。
エンジニアリング事業部・最近の実績☆☆AtoZtoA