松下幸之助氏に変わり新・経営の神様と讃えられ8月に死去した稲盛和夫氏。国内にとどまらず、中国の民営企業経営者にとって、稲盛氏は文字通り“神”のごとき存在でした。中国では少なくとも5万社の企業経営者たちが稲盛氏の経営哲学を学ぶ『盛和塾』などを通じ、それぞれの企業で“稲盛イズム”を実践しています。アリババの創業者ジャック・マー氏が稲盛氏と対面した時、感激のあまり泣きながら握手を求めた逸話は有名です。稲盛氏は京セラを創業し世界的企業に育て、第二電電(現在のKDDI)の創業、経営破綻した日本航空(JAL)の会長を引き受けて再建しました。産業・組織心理学が専門の山浦・立命館大学教授は稲盛氏について、「他人を思いやる『利他の心』をキーワードとした『フィロソフィ(哲学)』を組織運営の中心に据えていました」と論じています。私も稲盛氏の書籍を何冊も読みましたが「利他の心」を一貫して述べていらっしゃいました。稲盛氏は、「人間として何が正しいかで判断する」「地味な努力を積み重ねる」「お客さま視点を貫く」などの言葉が並ぶ「JALフィロソフィ」を社員に徹底しました。稲盛氏が、破綻したJALの課題として捉えていたのが、意識の改革でした。リーダー教育を徹底する一方、全社員の意識改革が必要になると考えたからです。組織にフィロソフィのような大義名分が浸透すると皆が、「これでいいんだ」「やってみよう」と心の準備を始めることになります。すると、勝つために必要なら、自ら進んでつかみ取りにいこうと動き出します。判断に迷ったとき、大義名分が答えを導く精神的な拠り所になるとも・・。弊社では経営理念をもとに行動指針を作成した「AZAクレド」があります。改めて企業の理念の中心に置くべき考え方である「利他の心」を基本とした経営をしてまいります。