2023年、新型コロナウイルスの蔓延、ロシア・ウクライナ戦争の影響による各国の軍事防衛費激増は、世界のGDPを下げています。また、高度成長を続けてきた中国の経済もトーンダウンが著しくIMFの世界経済成長率は1.2%増にとどまると予想。この水準は、リーマンショック直後の2009年並みです。2022年の夏ごろから始まった半導体の退潮傾向は、ずっと続いています。しかし、その中身を見てみれば、ひたすら落ちているのはメモリー半導体ばかりで、それもDRAMの落ち込みがひどい。ピークで15億台の出荷があったスマホは12億台まで落ち込んでいます。コロナ特需であったパソコンも一気下降であり、液晶TVも同じく伸びなかった。メーカー名で言えば、サムスン、SKハイニックス、マイクロンの3社は、2022年7~9月期の売り上げが前年同期比20%減という惨事です。ところがSDGs革命の進展により、エコカーの拡大が期待され、かつ再生可能エネルギーの中核となるパワコンの上昇など、パワー半導体については前年同期比10~15%増となっています。アナログ半導体も、少し落ちているがほぼ堅調です。世界最大のファンドリーである台湾TSMCの2022年通期の売り上げが、前年同期比40%増となっています。これはなぜなのか・・データセンター向けの出荷が好調であり、7割を5nm、7nmという最先端プロセスの製品が占有しています。半導体のトーンダウンといってもまだら模様であり、汎用のスマホやパソコンが落ちてきても、データセンターや5Gの高速対応の通信が支えています。自動車は、台数ベースでは大きくマイナスですが、EV、プラグインハイブリッド車、燃料電池車などのエコカーブームが到来。さらに完全自動走行運転なども加われば、半導体をこれまでの数倍も使うことになります。加えて、メタバース革命の時代が到来したらスマホに代わる端末としてスマートグラス、スマートウォッチの急拡大が予想。このことでダウンサイジングの技術は加速します。メタバースにより端末が代わることによって、エッジコンピューティングが必要になります。街角のあちこちにエッジサーバを多く置かなくてはならない。これが爆発的な半導体の増大を呼び込むことは間違いありません。2023年の半導体産業は、久方ぶりのマイナス成長が予想されています。5%減という人もいれば、10%減という人もいます。ただし現在の状況は一種の在庫調整に過ぎないと見ているのです。将来的な実需の流れが止まったわけでは有りません。日本政府はここにきて、Rapidus(ラピダス)なる新会社を立ち上げ、ニッポン半導体の再生プランを高らかに宣言しています。1990年段階で世界シェアが53%もあったニッポン半導体は、負けて負け続けて、今やそのシェアは6%。ここまで追い詰められれば、体を張っての反転攻勢に出るしかないですね。弊社も足元をしっかり固めて、反転攻勢していきます。