技術屋のサブスク
半導体設備投資の一服感が広がっています。先端ロジック半導体で好調を続けていたTSMCですら、2023年1～3月期売上が2022年10～12月売上に対して18.7％も減っているのです。メモリー半導体は3割、4割減と非常に厳しい状況です。
市場が厳しい情勢下にあっても装置や材料メーカーの設備投資がアクティブなのは、来るべきメタバース事業、ChatGPT向けの拡大、さらには自動車向け半導体の確実な急上昇が見込まれるからにほかなりません。2022年の半導体設備投資は15兆円以上にはなったとみられますが、これに対しての世界半導体生産は75兆円です。ここにきて国内における製造装置メーカーの設備投資はすさまじい勢いです。装置/材料メーカーの設備投資を調べてみました。
【ディスコ】広島県呉の新工場建設をアナウンス。800億円を投入します。同社の売上の25％はパワーデバイス向けですので今後車載向けを中心に急増すると判断していることからの積極投資です。
【日立ハイテク】山口県下松に240億円を投資し、新工場を建設しエッチング装置の生産能力を2倍にします。
【KOKUSAI ELECTRIC】富山県砺波に新工場建設を発表。投資額は240億円と巨額です。
【SCREEN】富山県内では半導体洗浄装置の分野で世界シェアトップのSCREENが、高岡市内で2カ所目となる工場の建設に着工しています。
【東京エレクトロン】国内装置の最大手であり、ここ数年のうちには半導体製造装置の世界第1位を狙っています。岩手県奥州市へ半導体新工場立地を決定。220億円を投じて装置の生産能力を稼働時で1.5倍、その後の生産効率化などで最大2倍まで引き上げる計画です。新棟は2階建て延べ5万7000m²、2階部分で半導体ウエハーの成膜装置を量産します。1階には物流センターを設けて生産を効率化していきます。
装置に関連した部品や半導体材料の分野においてもアクティブな投資が目立ってきています。
【京セラ】620億円を投じて長崎県諫早市に20年ぶりの国内新工場を建設することを決定。半導体製造装置向けセラミック部品などを生産し先端半導体のパッケージ部品を強化します。中長期的に、総額1000億円を投じる計画です。
【メック】半導体基板向け表面処理薬品については世界トップクラスです。北九州市に新工場立地を決定し40億円を投じて量産ラインを構築します。
【エッチ・エム・イー】三重県桑名に20億円を投じて、半導体製造装置部品の新工場を建設します。
【味の素】冷凍餃子で世界を驚かす味の素は半導体パッケージ基板向け層間絶縁材で世界シェアほぼ100％を持っていますが、現在の2つの国内拠点に加えて新たな工場新立地も検討しています。
―半導体デバイスの分野における日本企業の世界シェアは、8％程度に急落しており、回復に向け国家プロジェクトともいうべきラピダスの北海道千歳新工場建設に踏み切りました。しかし、半導体製造装置における日本企業のシェアは30％以上もあり、アメリカとトップ争いをするほどです。半導体材料にいたっては、世界シェアの60％をもち、ダントツ独走状態です。
