「日経トレンディ2023年6月号」では、「2023年上半期ヒット大賞&下半期ブレイク予測」を特集していましたのでご紹介致します。新型コロナウイルス感染症が5類へ移行以後は「正常化」は一段落と鮮明になるのでしょう。そんな端境期で、過去3年を取り戻すかのように、ヒット商品が各分野で生まれています。23年上半期を5つのキーワードで検証しました。
①「外出解禁!」
過去3年を取り戻すかのように好調だったのは、旅行・外出関連の消費です。22年11月にオープンした愛知県の「ジブリパーク」は、2カ月先の予約が取りづらい状態が続いています。新幹線や飛行機の需要も回復し、行き先が「ガチャ」で決まるJR東日本の「どこかにビューーン!」も大きな注目を呼んでいます。意外なところでは、旅行先で使える商品券がふるさと納税の返礼品としてもらえる「PayPay商品券」も導入自治体が一気に増えました。「外出解禁!」の喜びは、出かける前の準備に必要な美容・健康関連商品の好調さにも現れています。パナソニックの「ヘアードライヤー ナノケアEH-NA0J」は、外出前の準備の時短になると好評で、同社の計画の2倍以上を販売しました。帰省やイベントなどに出かける前の「陰性証明」などの用途で、新型コロナの一般用抗原検査キットもよく売れました。
②「失敗したくない!」
一方で、昨今のインフレも消費に大きな影響を与えています。可処分所得が目減りする中、買い物で「失敗したくない!」という意識が強くなったことが考えられます。そこで目立ったのは、実績のある定番品のアップグレードです。例えば家電では、累計150万台を販売した高級トースター「BALMUDA The Toaster」の上位機種として、表面をきれいに焦がす新機能を搭載した「同 Pro」が、同社の想定の2倍のペースで売れるヒットとなりました。パイロットコーポレーションの「フリクションボール」やロッテの「チョコパイ」など、様々な分野で「プレミアム版」がヒットを飛ばしています。他方、
③「まさかの転生」
新規性のある商品でも、定番が「まさかの転生」を遂げて、安心感と新味を両立する動きが目立っています。例えば不二家の「ホームパイ チョコだらけ」は、20年にヒットした「カントリーマアム チョコまみれ」の世界観を引き継いでいます。
④「スマート設置」
「巣ごもり消費」の反動と言えるのが、「スマート設置」できる商品の好調さです。普段はサウンドバーとして使えるスピーカーシステムである「JBL BAR 1000」など、置き場所に配慮した製品が人気を集めています。巣ごもり期間中に増えた家電などで家が狭くなり、省スペースにつながる商品の価値は以前よりも増しています。
⑤「SNS発健康法」
プラズマ乳酸菌がインフルエンザの症状を軽減し、整腸剤がダイエットに有効であるといった健康情報がSNSを通じて広まり、ヒットにつながる例も目立ちました。コロナ禍がまだ終了していない状況もあり、健康に関する情報はSNS上で広く共有されています。