最新の企業短期経済観測調査(短観)の結果が発表されました。この調査は、日本の大企業を対象に景況感を示す指標を調査するもので、6月の調査では大企業製造業の業況判断指数(DI)が前回調査から4ポイント上昇し、プラス5となりました。これは2021年9月以来の改善で、約1年9か月ぶりの好結果です。この改善の背景には、半導体不足の影響が緩和され、自動車生産が回復基調に入ったことや、原材料価格の上昇が収束したことが寄与しています。また、大企業非製造業(宿泊・飲食サービスなどを含む)のDIも3ポイント上昇し、プラス23となり、5四半期連続の改善を記録しました。この指数は、2019年6月以来の高水準であり、新型コロナ感染拡大前の経済状況を思い起こさせます。新型コロナ感染症の影響が緩和され、経済の正常化が進んでいることに加え、訪日客の増加による国内旅行需要の拡大も景況感を支えています。製造業の中でも、自動車などの10業種で改善が見られました。食料品や石油・石炭製品では、原材料価格の上昇分を価格に転嫁することで改善が進みました。しかし、電気機械や生産用機械では海外経済の減速による需要低迷が響き、景況感が悪化しました。非製造業では、宿泊・飲食サービスを含む7業種で改善が見られました。特に宿泊・飲食サービスは36ポイント上昇し、プラス36となり、過去最高水準を達成しました。将来の見通しについては、大企業製造業は3ヵ月後に4ポイント上昇し、プラス9となる見込みです。一方、大企業非製造業は3ポイント下落し、プラス20となる見込みです。特に非製造業では人件費の増加が懸念されています。この調査結果からは、景気回復の兆しが見えてきましたが、引き続き経済の動向に注目が集まります。特に、人件費の増加などの課題に対して適切な対策が求められるでしょう。