技術屋のサブスク昨年は特殊詐欺で、一日当たり1億円以上が、だまし取られました。被害額もさることながら、犯罪グループの末端が強盗事件に手を染めるなど、高齢者を狙った犯行は凶悪化している傾向にあります。セコムIS研究所の濱田宏彰さんに、自宅への侵入犯罪を防ぐための対策を聞きました。
オレオレ詐欺など特殊詐欺の被害者は昨年、85%以上が高齢者でした(警察庁調べ)。最近では、摘発されている若者が詐欺のみならず、強盗事件など凶悪犯罪を行っている実態があります。その背景に何があるのでしょうか。
金欲しさに若者は、SNSの闇バイトに応募し、特殊詐欺グループに犯罪行為だと知らされずにリクルートされます。そして、特殊詐欺の末端である「受け子」(被害者から現金などを受け取る役割)や「出し子」(だまし取ったキャッシュカードで現金を引き出す役割)を担い、犯罪に手を染めてしまう。一回でも、犯罪組織の手足となって動いた若者は、個人情報を把握されるなどして、組織から抜け出せなくなっていきます。そして指示役からの指示はエスカレート。無謀なノルマを課せられ、凶悪な強盗事件に走る。こうした実態が報じられています。
そして、皆さんにお伝えしたいのは、特殊詐欺グループの犯行が増加、粗暴化しているだけでなく、昨年の刑法犯の認知件数も20年ぶりに増えたということです。
今年1~5月を見ても昨年同時期に比べて、強盗や侵入盗の認知件数が増えているのです。
今こそ自宅への侵入犯罪から身を守る対策が求められています。何より自宅に入れないことが大切です。その具体策を紹介します。
自宅に入れない
①留守番電話を確認してから折り返す
②インターホン越し、チェーンロック越しの対応 侵入犯罪から身を守る対策の柱は、「知らなかったり、身分が不確かだったりする人間は、自宅に入れない」ということです。
電話の対応
特殊詐欺グループは、犯行前に、資産状況などを確認するために電話をかけ、狙いを定めています。これが強盗や詐欺の入り口です。この“アポ電”は、大半が自宅の固定電話にかかってきます。 その電話の特徴は、留守番電話に伝言を残さないということです。
電話の対応
「着信があってもすぐに出ない」「留守番電話を確認してから折り返す」ことです。
対面の対応
特殊詐欺グループは“アポ電”で狙いを定め、ガスや漏水などの点検業者や、宅配業者、自治体職員等を騙って侵入を試みてきます。対面の対応は玄関のドアを開けず、「インターホン越し」「玄関のチェーンロック越し」「ドア越し」に行ってください。宅配業者には、置き配をお願いしてもいいでしょう。
点検業者、自治体職員などを名乗る突然の訪問者には「会社・団体名や所属、名前を確認」。いったん、引き返していただき、「自ら会社・団体に電話し、訪問者の在籍の有無、用件の正当性を確認」しましょう。そもそも、事前の連絡や通達がなく、突然、訪問してくるケースは少ないはず。その時点で疑いを持って対応してください。また、オートロックのマンションは安全というわけではありません。居住者の後を追えば、オートロックを突破できます。先述の対策が大切です。
グッズの活用
①防犯フィルム
②補助錠
③防犯砂利
泥棒などの犯罪者は、人目につくことを嫌う特徴があります。だからこそ、「室内への侵入に5分以上かかる家は諦める」といわれています。そこで活用したいのが防犯アイテム。
まず、窓ガラスに貼る「防犯フィルム」。強度が上がり、安全度が高まります。また窓やドアに付ける「補助錠」も有効です。窓に付ける際は手の届く範囲の上部に装着してください。手を伸ばして解錠しようとする場合、人目につきやすく、犯罪者は手を出しづらくなります。
踏むと大きな音が出る「防犯砂利」を敷地内にまくのも有効です。これらのアイテムはホームセンターやインターネット等で購入できます。
そして、防犯意識の低い家だと思われないことも重要です。自転車の鍵がつけっ放しだったり、玄関や窓が開いていたりするのは厳禁。在宅時でも玄関は施錠し、大きな窓を開けるのは空気の入れ替えなど必要最小限にしてください。
“うちには大金がないから大丈夫”と思っている方もいます。しかし、通貨価値の異なる外国人犯罪者などから見れば、大変魅力的なケースも多いので油断できません。
個人情報は漏らさない
特殊詐欺グループは、家族構成や出身大学、高額な買い物履歴などの情報が一覧化された名簿をもとに“アポ電”を繰り返しているといわれています。
個人情報を漏らさない対策も大切です。宅配便の段ボール箱や郵便物などに貼り付けられた住所や名前が記載されたシールは、必ず、細かく破いてから処分してください。
また、ツイッターやインスタグラム等のSNS上に、必要以上に個人情報を出さないよう注意してください。
アンケートやプレゼントの応募などのために、安易に個人情報を入力するのも気を付けてください。