「中国向け半導体輸出規制が日本に「無風」のナゼ・・」(1321号)・・業界初・ものづくり技術支援をサブスクで提供するAZA

技術屋のサブスクこんにちは、皆さん。今回は、日本で行われた半導体輸出規制についてお伝えします。半導体需要の低迷が続く中、経済産業省は5月23日に、最先端半導体の製造に使用される装置などを輸出管理の対象に加える省令改正を公布しました。この改正により、洗浄装置や露光装置など、製造工程で使われる23品目が対象となります。特定の国を対象にしたものではありませんが、政府の許可が必要となるため、実質的に中国への輸出は難しくなるでしょう。2022年10月には、アメリカが最先端半導体の製造に使われる装置や技術の対中輸出規制を導入していました。日本もこの方針に追随し、足並みを揃えた形となりました。この輸出規制の焦点は、日本の半導体関連企業に与える影響です。日本企業は半導体の製造において装置や材料の分野で強みを持っており、中国への売り上げも相当な規模になっています。たとえば、半導体製造装置メーカーの大手である東京エレクトロンは、半導体前工程の装置が主力であり、製造装置の売上高では世界3位です。同社の中国向け売り上げ比率は2022年度には23%に上ります。また、SCREENホールディングスも半導体ウエハーの洗浄装置で世界シェア1位であり、その部門の売上高の約20%が中国向けの売り上げに貢献しています。半導体市場が冷え込んでいる中での輸出規制は、まさにダブルパンチの状況と言えます。しかし、これらの企業の今期計画を見ると、意外な展望が明らかになりました。東京エレクトロンの河合利樹社長は決算説明会で、「中国向けの売り上げはむしろ伸びる」と述べました。彼は2024年3月期の中国向けについて、「顧客の最先端分野への投資は抑え気味になっている一方で、多くがレガシー(成熟品)分野の投資に積極的になっている。売上高に占める割合は30%程度になるだろう」と述べました。東京エレクトロンは今期1兆7000億円の売上高を見込んでおり、そのうち中国向けの売り上げは約5100億円で、前期比2%増を計画しています。全体的には23%の減収が見込まれている中で、これはかなり注目すべき数字です。「レガシー(成熟品)分野の半導体」とは、主に家電や自動車、産業機械などに使用される古い世代の技術を使って製造される半導体のことを指します。半導体の自給率が低い中国では、国策ファンドを通じて半導体産業に多額の補助金が投入されてきました。「中国メーカーは、先端品に限らず成熟品のニーズも強く、メーカーや関連企業にはかなりの支援が流れ込んでいる」と、中国企業に詳しい千葉大学の客員准教授でジャーナリストの高口康太氏は語ります。製造装置メーカーの視点から見ると、「中国メーカーの投資意欲は非常に高い。先端分野で規制があるたびに投資戦略を変えてきている」とのことです。前述のSCREENホールディングスも同様の理由から、中国向けの売り上げが伸び、全体の業績に寄与する見込みです。2024年3月期には、中国向け売り上げ比率は3割にまで拡大すると予想されています。日本の規制は実際には最先端の製品に限られており、中国への出荷が制限されることはほとんどないという事情もあるようです。このように、日本の半導体関連企業にとっては予想外の展開となりました。中国向けの売り上げが成長する見通しとなったことは、業界にとって一筋の明るい兆しと言えるでしょう。以上が、日本での半導体輸出規制についての最新情報です。今後の動向に注目し、半導体産業の発展に期待しましょう。それでは、今回のニュースはここまでとなります。次回もお楽しみに!

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