技術屋のサブスク 私達の業務は、長時間のパソコン操作を伴うデスクワークが主体です。常日頃から肩こり、首コリ、腕の間接の痛みなどに悩まれている方が沢山いらっしゃると思います。今日はテニス肘として知られる「上腕骨外側上顆炎」は、近年ではデスクワークをする人々にも増えているとされています。この障害について、日本肘関節学会の担当理事としてガイドライン作成に携わった鈴木克侍病院長に話を紹介致します。
テニス肘は、肘の外側の丸みを帯びた突出部である「外側上顆(くるぶし)」に一定の力が加わることで痛みが生じる障害です。そのくるぶしには多くの筋肉が付着しており、特に「手の甲を上にして、手首を反らす筋肉」に過剰な負荷がかかると、付着している腱に微細な断裂が生じて炎症が引き起こされます。かつてはテニス愛好家の中高年に多く見られたため「テニス肘」と呼ばれていますが、現在ではデスクワークや日常的な労働・家事による発症が増加しています。
マウス操作に注意 繰り返す動作は危険
最近は両手でバックハンドを打つテニスプレーヤーが増えたこともあり、テニスでの発症は減少しています。しかし、現代では日常生活で同じ動作を繰り返すことにより、特に30~50歳の女性に多くの発症例が見られます。家事や育児において手首に負荷をかける動作が多いためです。さらに、パソコンの長時間使用による発症も増えています。特にマウス操作では手首を反らす動作が多く、これが危険因子となっています。
関節の健康を保つためには、加齢とともに減少するコラーゲンを補う必要があります。年齢と共に筋肉は弱くなり、腱も切れやすくなっていきます。無理な負荷をかけ続けることは避け、適切なケアを心掛けましょう。テニス肘は握力を使う動作によって痛みが走るため、日常生活や仕事にも影響を及ぼします。このため、サポーターなどの装具療法が行われます。装具を着用する位置は重要であり、正しい装着方法については医師に相談しましょう。治療においては、腱が大きく切れている重症者には手術が検討されることもありますが、軽症の場合はステロイド剤の注射などの一時的な措置で痛みを取り除くことが行われます。しかし、本来の目的は理学療法による治療です。筋肉と腱の伸縮性を良くし、関節の可動域を広げることにより、痛みを軽減し再発を抑えることが目標とされます。また、消炎鎮痛剤の使用も炎症を抑える助けになります。
関節を動かす運動 お勧めはお風呂トレ
関節を動かす運動として、肘の屈伸や手のひらを上下に返す、手首の屈伸・回旋、指のグーパーなどがお勧めされます。特に「お風呂トレーニング」は効果的です。湯船に漬かりつつ、水を入れたペットボトルを持ち、関節を動かす運動を行います。このトレーニングにより、痛みの軽減や関節の柔軟性向上が期待できます。
温めて痛みを軽減 日常にラジオ体操を
さらに、関節の運動と併せて体を温めることも重要です。体温が上がると血行が良くなり、痛みを引き起こす物質の排出が促進されます。温泉療法やマッサージも血行を改善するために有効ですが、注意点としてマッサージ時の圧が強すぎないようにすることが必要です。
体を動かすストレッチを行う
最後に、同じ姿勢や動作を長時間続けることは関節を硬直させる原因となります。少なくとも30分に1回は休憩を取り、体を動かすストレッチを行うことを心掛けましょう。また、約200の関節を大きく動かすラジオ体操は、日常生活に取り入れることで関節の健康維持に役立ちます。
テニス肘は、デスクワークなどの日常生活での動作によっても引き起こされる注意すべき障害です。予防と適切な対処法を意識することで、健康な関節を維持し、痛みを軽減することができます。早めの対応が症状の改善につながるため、日頃からケアを怠らずに取り組んでいきましょう。