技術屋のサブスク
秋も深まり、もうすぐ冬そんな晩秋の夜にぴったりの一冊をご紹介します。田野井優美著『老舗工場の働き方大改革！100年企業のものづくりはひとづくり〜5代目女性社長の奮闘記』が2023年11月3日に発売されました。この書籍は、生産性の向上と労働時間の削減に成功した老舗企業の革新的な取り組みを紹介しています。
田野井製作所は、５Sの整理整頓と清潔さを徹底し、IT化・DX化により業務を効率化している埼玉県白岡市のねじ加工工具製造工場です。この工場は創業から100年以上経ちながらも、県知事をはじめとする多くの見学者が絶えることがありません。
この本の核心は「ものづくりは人づくり」にあります。田野井製作所は、単に製品を作るだけではなく、社員一人ひとりの育成にも力を入れています。その結果、オフィスでの残業はゼロ、工場の残業も大幅に減少し、有給休暇の取得率は71％に達しました。多能工化やデジタル化による生産性の大幅な向上も実現しています。
本書では、5代目女性社長の田野井優美氏が自らの経験を基に、倒産の危機から業績を立て直し、社員の平均年齢を37歳に若返らせた改革の詳細を、写真と共に紹介しています。業務改善の効果を金銭的に換算し、定期的な評価面談を通じて社員のモチベーションを高める仕組みが詳細に語られています。
著者の田野井優美氏は、2002年に田野井製作所に入社し、副社長を経て現在は代表取締役を務めています。彼女のリーダーシップの下、専業メーカーとしての高い技術力を保ちながら、IT化・DX化を進め、明るく活気ある職場環境を作り上げています。
このブログを通してお伝えしたいのは、「物をつくることは、人をつくること」という深い理念です。田野井製作所の例は、持続可能な成功とは、最終的には人々の成長と幸福につながるということを教えてくれます。この書籍は、企業経営者だけでなく、すべてのビジネスパーソンにとって、価値ある洞察を与えてくれる一書です。
