「タイパ・効率性を追求する新時代の象徴」(1473号)

弥生三月、長く待ち望んだ春がついにやってきました。この時期は、新しい季節の始まりだけでなく、年度末という節目でもあります。社会全体が忙しなく動き出し、どこか騒がしい雰囲気に包まれます。まさに、時間を意識し、効率的に、そして大切に使いたいと感じさせる時期です。
2022年に三省堂が選出する「今年の新語」大賞に輝いた「タイムパフォーマンス(略称:タイパ)」は、Z世代(1990年代中盤以降生まれ)の間で流行し、今やビジネス界全体で耳にする機会が増えています。この言葉は、効率性を重んじる現代社会の価値観を象徴しており、成果や満足度が低い活動は「タイパが悪い」と評されることがあります。

映画やテレビドラマの「ながら視聴」、動画の「倍速視聴」や「10秒スキップ」など、タイパを最大化しようとする人々が増えています。これらの手法は、限られた時間の中で最大限の満足を追求する現代人の姿勢を反映しています。また、日々の忙しさから逃れ、心地よい時間を過ごすために、非効率な時間を削減しようとする人も少なくありません。
日本インフォメーションの調査では、日常生活でタイパを意識する人は全体の約40%に上り、特に「乾燥機能付き洗濯機」、「食器洗い乾燥機」、「冷凍食品やミールキットの利用」が効率的な家事を支える主役として挙げられました。これは、忙しい現代人がタイパを意識せざるを得ない状況を示しています。
エッセイストの三宮麻由子氏は、速く効率的に情報を取り入れる必要がある一方で、「じっくりとした時間も大切にしている」と述べています。速度だけを追求する生活は、結局のところ時間に縛られてしまうことを危惧しています。
最終的には、スピードを重視するか、丁寧に向き合うかは状況に応じて選ぶべきですね。忙しいスケジュールの中で「動」と「静」を巧みに使い分けることが、エネルギーを増す源であるともいわれます。タイムパフォーマンス意識してみましょう。