「AZAのザ・ラストマンは誰だ・・」(252号)

◎今年に入り本を読む目標の年間150冊読破に向けてばく進中です。本年37冊目の本

「ザ・ラストマン」について紹介したいです。久々に自身のバイブルにしたい本と出合いました。

ザ・ラストマン

著者は前・日立製作所会長の川村隆氏(現・日立製作所相談役)

川村氏は、日立製作所が7873億円の最終赤字を出した直後の2009年、子会社の社長から

執行役会長兼社長に就任し、日立再生を陣頭指揮した人物です。

 

テレビなどの赤字事業からの撤退といった大ナタも振るう一方「社会イノベーション事業」の

拡大という具体的な方向性を示し、“沈みかけた巨艦”を再浮上へ導いた「やり抜く力」の人物です。

この書には「どん底」から「過去最高益」、そして「世界」へ――日立グループの復活を支えたのは、

一人ひとりが持つ「最終責任者=ラストマン」の覚悟だった。決断、実行、撤退……、

一つひとつの行動にきちんと、しかし楽観的に責任を持てば、より楽しく、成果を出せることが

書かれております。

 

川村氏が入社して間もないころに、後の社長になる「三田勝茂さん」当時は国分寺工場の工場長だった時に

知り合う機会がありこんなことを言われたそうです。

「自分は大学を出てしばらくしたら、現場の人達をどうやって食わせようかなって考えるように

なったんだよ。設計をし図面を描いて、それを現場に渡して製品を作ってもらうでしょ。その現場の

人達は100人ぐらいいるんだよ。自分のトランスを作ってくれる人が100人もいる。そう考えたら

作ってくれる人達を食わせて行けるような製品を生み出さないといかんな、って気になったんだ。

君もそうなりなさいね」そう教えて頂き理解できたわけではなく「ふーん。そういうものか」程度だった。

40年以上がすぎてよく理解できるようになったそうです。

 

「1人1人が会社から給料をもらうだけではなく「自分が皆の給料を稼ぐ」という意識を持てるようなれば

会社は再生出来る。その為に私は戻ってきたようなものである。」と冒頭に言われている。

 

また課長レベルの研修会では、「お金の匂いがするか見極めなさい」と語っています。

若手社員は、「会社は自己実現をする場」「自分のキャリアアップの為に利用する」と考えて

いる人も少なくないので、疑問を投げかけられることもあるが、

企業は利益を得たら、それを社会に還元して世の中を良くするために働きかけなくてはいけない

と説くそうです。

 

“日立・復活”の流れに触れながら展開される、ビジネスマンへの具体的アドバイスが書かれています。

この川村氏は東大工学部出身で、日立に入社された生え抜きでもあります。入社時から現場で叩き上げられた

苦労話も随所に書かれています。

「修羅場体験で人は覚醒する」と言われています。人が最も成長するのはどんな時ですか?そう尋ねられたら

「しんどい想いをした時」と言っています。例えば、製品の試作を何度やっても上手くいかない時

あるいは、会社に数千億、時には数億レベルの損害を与えるような失敗をした時の「修羅場体験」が

何より人を成長させる。泥臭いが実感です。」と・・また「始末書を書いた枚数だけ成長する」とも

言われています。「若い世代にアドバイスとして〝失敗を恐れるな″と言われているのです。

現場で叩き上げられた人のみが言える、確信に満ちた御指南の数々です。

 

※この厳しい時代を生き残る決意のある方には是非読んでいただきたい「ザ・ラストマン」

「自分の後ろには、もう誰もいない!」

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