「ビジョンの共感共有が大きな成果を生む・・」(522号)

今年の業務も残り2週間を切りました。慌ただしくなりますが、宜しくお願い致し

ます。先週読んだ書籍「しくじり企業も復活する7つの大原則」(ランチェスター経営

×孫子の兵法)開園以来18年間一度も黒字にならない赤字続きのハウステンボスを

HIS創業者の澤田秀雄氏が立て直した事がまとめて書かれている部分を紹介します。

【回転木馬のお兄さんは今日も踊っている】

ハウステンボスにもごく普通のメリーゴーランドがあります。

ここの担当であるお兄さんは木馬が回転している間、ずっと踊り続けているのです。

子供たちに手を振ったり、ダンスをしたり、本当に1日中踊っている。しかも誰に強

制されたわけでもなく、自ら踊り出したのだといいます。社長の澤田氏はいいます。

高コスト体質の問題や施設の運用面などは、ある程度事前調査でも見えていた。実際

にハウステンボスに入り込んで感じた最大の課題は、社員のやる気、モチベーション

にあった。士気が下がり、元気がなく、負けぐせがついている状態だった。

「無理もない。18年間赤字続きで、黒字になった経験もない。賞与も久しく出ていないし、

経営陣は何回も変わる・・」これでは何をどうすれば良いかなども考えられなくて当然だ。

実はこれこそが最大の課題だったわけです。そこで澤田氏は、全従業員を集め、ごくシンプル

な取り組みの要望を提示しました。

①ウソでもよい、とにかく笑顔で、明るく元気に振る舞い、挨拶を欠かさないこと。

②掃除を徹底すること。毎朝自分も一緒にやるので、掃除を徹底化する。

③とにかく皆でがんばって、経費2割カット、売上2割増を実現させる。

そうすれば必ず黒字化する。その際は賞与を出す!このシンプルな3つの約束こそが、

社員にやる気と自信を与えていったのです。それまでは何をどうすれば黒字化するの

かわからなかった社員が、具体的にやることが見えてきたのだから、とりあえずやっ

てみる。それでグメだったなら、その時また考えればいい。

まずはトップが率先してやっているのだから、信じてやってみよう。こんな空気感が

出てきたのです。実際にやってみると、効果が現れ始めます。

こうなると自信につながり、さらに自発的な発想が生まれてくる。好循環作用が回り

始めるわけです。澤田氏は、こうも語りかけたそうです。

「皆さんが長年、赤字でもがんばってこられたのは、なぜですか? お客様に喜びや

驚きや癒しといった感動を提供することを『志』としてきたからではないでしょう

か?」「私には、『夢』があります。このハウステンボスを。東洋一きれいな観光ビジ

ネス都市にしたいという夢が描けたから、再建を引き受けたのです・・皆さんにも『夢』

があるでしょう? この志と夢を共有し、ともに再建を果たしましょう!」

ハウステンボスの黒字化は、決して澤田氏―人で実現したわけではありません。

彼の示した「夢」と「志」を皆が共有し、自分の立場でできることを各々が考えるように

なったからこそ、黒字化を果たせたのです。トップの使命は自らの「夢」と「志」

を示し、それを皆に提示し、そしてシンプルでわかりやすい言葉でやるべきことを

自ら考えさせる。さらに自らが率先し取り組む姿勢こそが、従業員の心を揺さぶり、

行動させるのではないでしょうか。澤田氏の経営手腕からはそのことを感じずにはい

られません。だから、回転木馬のお兄さんは今日も踊り続けているのです。

従業員の志と社長の夢を共有して社員1人1人がその夢に向かって心を合わせて自分に

何が出来るのかを自ら考え行動した結果、組織が大きく自走し始め、やがてビジョンを

実現させた実例です。

私達が、毎日唱和しているクレドの「MISSION」「VISION」「VALUE」を再度

確認し皆で共有し、心を合わせて実践していきましょう!

———————————————————————————AtoZtoA—-
 「技術をデザインする」  マルチエンジニアリングのAZA