「2度のV字回復の軌跡・・」(767号)

『吉野家V字回復の軌跡』~逆境の経営学とリーダーシップ~ のWebセミナー

を受講致しました。皆さんも一度は口にしたことがある吉野家の味。現在、吉野家

は現在ホールディングス化されており、グループには吉野家の他に、はなまるうどん

や京樽も展開しています。

幾多の苦難に直面した吉野家ですが、過去最大級の困難が2つありました。

①倒産と債権 ②BSE問題で牛丼の2年半の停止。大きな会社でもこのような危機は、

成長と共に背中合わせの関係です。過去2回の危機をみごとにチャンスに変えて成長

を続けて来た吉野家。現在も新型コロナウイルス感染症問題で過去最大級の困難と向き

合っています。先日も、今年度中にグループ店舗の最大150店を閉店させることを公表

されました。この問題も過去の経験から更なる成長につなげていくと、大きな期待寄せ

ております。今回のコロナウイルス問題を除く2つの問題に対して、どのようにV字回復

を遂げたのか、回復のポイントは何だったのか・・。

①【倒産債権】50店舗から全国展開を開始。高い目標と達成の執念の強さで、困難な

目標達成を積重ねてきた。築地店 一日1000人 10坪 年間1億の売上達成が

その大きな原動力と成りました。ヘビーユーザーの獲得を目指して、毎日食べても飽き

ない牛丼の開発を注力。また入店から品だしまで15秒もその一つです。お客の顔を

見て注文されるメニューを想定して準備を開始する教育も行ったのです。1年で100

店舗⇒200店舗の倍増。100店舗達成した記念パーティーの席上で、1年後のホテル

オオクラに200店舗記念パーティーの予約を行うなど、勢いに任せた経営を行ってい

ました。ところが200店舗⇒300店舗に拡大と同時にアメリカ200店舗構想を進行

させることによる無謀な挑戦が、疲弊を生んでしまいました。出店有りきで計画を行い

その乱雑さにより赤字店が一気に増えたのです。重ねて輸入ビーフに頼っており、肉の取り

合いになって相場が上がる。仕入れも上手く行かない。教育が行き届かず店長の質の悪さ

など・・。質の悪い、まずい牛丼の提供と値上で悪循環に陥り、倒産に・・。倒産の原因は、

自らに有り。再建に当たり品数多品種に・・・との論調に結局単品勝負で挑んだ。本来の

吉野家の美味しさ「うまい、安い、早い」のビジネスモデルに戻せば、勝機があると判断し

ました。そして味を戻し⇒赤時点を間引き⇒店長の再教育で翌年から黒字展開になりました。

そして破産の申立から、5年を待たずして全額債務返済と再上場を果たしたのです。復活は、

原点回避に有ったのです。

②【BSE問題】当時7~8%利益率で400店舗超えた。2000年には計上利益18%東証

1部に・・ところが、2004年BSE問題が発生し即刻牛丼の販売を中止を決断。24時間年中

無休1000店舗営業していたが通算3ヶ月分の牛肉の在庫を確保、この危難に牛丼に変わる

商品の開発が必要だった。期間も在庫がある3ヶ月での短期開発と成りました。その時にブランド

イメージをまもることを先決とし従来使用していたアメリカン産の牛にこだわり、輸入再開まで

牛丼の販売を中止にしました。様々な意見を頂戴したが牛丼の再開まで、他の代替えメニューで

2年半をしのぎ、ブランドイメージを守り、多彩なメニュー展開をすることによりV字回復を成

し遂げることが出来ました。ここでのポイントは、吉野家の牛丼の味を変えず、安易な代替えの

肉は使わなかったこと、ブランドイメージを守りぬいたことです。吉野家は人間集団が特徴で、

その力で勝つことを示す出来事でも有りました。生え抜きの社長は、寝ずに働いた。喜びながら

働いた。出来るやつには、どんどん難局のステージを提供し、働きながらスキルアップを果た

してきた・・と語っておられました。

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 「技術をデザインする」  マルチエンジニアリングのAZA