―シカの皮と足が教えてくれることー
ある日、お釈迦さまが弟子たちを集めて、次のような問題を出しました。「道の上は、
ゴツゴツした石がつき出ていたり、とがった木片が落ちていたりして、どうにも歩き
にくいね。石や木を踏んで足をけがする人もいる。どうしたらよいだろうか?」弟子
の一人が答えました。「世の中の全ての道を、シカの皮で覆うのはどうでしょうか。
そうすれば随分と歩きやすくなりますし、ケガをする人もいなくなります」この答え
を聞いたお釈迦さまは「そうだね。それは良さそうだね」と言い、それから次のよう
に続けました。「でもね、考えてごらん。世の中の道を全部、シカの皮で覆うなんて
ことが出来るだろうか?無理だよね。じやあ、どうすればいい?そう私達人間の足を
シカの革で覆えばいいんだ。これなら出来るだろう?――」
「シカの皮と足」が教えてくれることは、「他人を変えようとする前に、まず自分から
変わろう!」ということです。お釈迦さまはこのお話の中で、他人と自分の関係の
あり方について説いています。人と一緒に何かをやろうとして上手くいかないとき、
私たちは「何を変えれば上手くいくようになるだろうか?」と考えます。方法は二つ
あります。一つ目は自分以外の人の行動を変えることです。ですが、人を自分の思い
通り変えることはとても難しいことです。本人がその気にならなければ、人は変えら
れないからです。二つ目は、自分の行動を変えること。これは一つ目の方法よりはるか
に簡単なはずです。自分の行動を変えることで、他の人が行動を変えるきっかけを作る
ことも出来ます。上手く行かない時は、人や環境をとやかく言う前に、まず自分の行動
を見直してみましょう。そうすれば案外楽に状況を変えられることがあります。
今年上手く行かなかったこと。目標達成出来なかったこと。などありませんでしたか?
そんな方は来年、まず自分の行動を変えることに挑戦してみませんか。
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