「開発とは・役に立つとの信念を貫くこと・・」(836号)

新しい医療機器が開発されるたぴ、救える命は増えます。血液中の酸素の取り込み具合

(酸素飽和度)を簡単に測れる「パルスオキシメーター」も、その一つです。洗濯ばさみ

のような形状のセンサーで指先を挟み。LEDの光を当て、指を透過する光によって、

血液中の酸素飽和度と脈拍数を測ります。採血せずに命に直結する重要な指標データー

を測定でき、新型コロナ感染症でも患者の病状把握やホテル・自宅療養で活用し、なく

てはならない医療機器となっています。

パルスオキシメーターの原理を発明したのは日本光電工業の技術者で青柳卓雄さんです。

50年ほど前、心臓の動脈血を測る装置で、動脈の「ドクドク」という拍動(パルス)

の影響を取り除く改良を進めていました。研究中、邪魔にしか思えなかった拍動自体が

血液の情報を持つことに気付き、拍動を利用して酸素飽和度を測定することを考案され

ました。マイナスをプラスに転じる発想だったのです。その後、パルスオキシメーター

は、麻酔中の酸素不足による医療事故が多発した米国で、LEDなどの新技術によって

小型化され、急速に普及しました。現在では世界中の医療現場で欠かせないものになっ

ているのです。青柳さんは昨年4月に84歳でご逝去されましたが、晩年まで性能改善

と後進の育成に全力を注いだといわれます。役に立つ医療機器を作るという信念を貫い

た青柳さんや、開発を続ける技術者の姿は、コロナ禍克服への力をくれる存在です。

私達も常に開発に携わる身として、大切なことの1つは「お客様のお役に立つ」

「困っていることを解決する」使命感では無いでしょうか。私達の設計するものは最先

端要素として使われるものでもありますので、なおさら使命は大きいといえますね。

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 「技術をデザインする」  マルチエンジニアリングのAZA